与野の歯医者さんからの帰り、あっちもこっちもサクラが満開で
美しいので公園でお昼を食べることにした。一人で。
一人でも十分に楽しめそうな陽気なの。
皆、地べたや草原(くさはら)にシートを敷いてくつろいでいたの
で公園のベンチがあちこちガラ空きだ。最初私はベンチに座っ
たのだけど桜が遠いので移動した。桜に近づきたい。桜の真下
には・・・どうやら空いてるベンチがなさそうだ。そこで、桜の近く
の、ちょうどいい高さの切り株に座った。
新潟県村上市の観光地図や観光パンフレットを広げながら食べ
た。4mくらい後ろには超明るい耳の遠いおばあさん3人組が草
の上にシート敷いて大きな声でしゃべっていた。声がでっかいか
ら話は全部聞こえてくる。最初はやかましいな~、場所を変えよ
うかな~と思ったけど、次第に自分が地図やパンフレットに集中
してきたようで聞こえなくなった。
おっとっと!お弁当も落っこちそうになった。先に食べてしまいま
しょう。食べて落ち着いてからサクラを撮影。
そのうち、切り株にパンフレットを置いて、自分は地べたに座って
パンフレットにマーカーをつけたり文字を記入していたら目の前に
じっちゃん・ばっちゃんの集団がやってきて、若い人が「ここで休
憩にしましょうーー!」と言った。
「えー、もっと広いところへ行けばいいのに」 (私はそう思った)
願いは叶わなくて、目の前の集団はそこで休憩したり記念撮影を
始めた。がやがやがや。
あ、デイサービスの集団だな。
ま、サクラ満開で、陽気もよくて、元気に歩いてここにお花見に
来られるなんて幸せよね。
うちの母も連れてきてあげたいけど、寝たきりの母を私一人で
車に移乗するのは無理だな。母のお花見は数日後、デイサー
ビスで伊佐沼(いさぬま)へ連れていってくれるらしい。
「お花見の飲み物は甘酒がいいですか?おしるこがいいですか
?」と先日聞かれたっけ。
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わたくし、また村上市の観光パンフレットに集中していたら・・・
知らないおじいさんが私のところにやってきた。
すかさず、若い女性スタッフが止めに入った。「あっちへ行きま
しょう!」って。
おじいさんは若いスタッフの手を振り払って「なにするんだ!」
ってな顔をした。
そして、またよそいきの取り繕った顔になって、私に向かって、
「スミマセン、タバコありますか」
「タバコ、持ってますか?」 と聞いた。
若い女性スタッフが恐縮して、「すみません」と言い、おじいさん
には「あっちへ行きましょう」・・・と誘導した。
私は、若いスタッフに「大丈夫ですよ。うちにもアルツハイマーの
おばあちゃんがいますから」
おじいさんには、「タバコは持っていませんよ」 と答えた。
「そうですか」 ・・・おじいさんは素直に立ち去った。
しばらくすると、またさっきのおじいさんがやってきた。今度は
若い男性スタッフが付き添っている。そのおじいさんはさっき
のことはすっかり忘れているので、また同じことを私に繰り返
した。
急によそいきの声で、「タバコを持ってますか?」と。
「タバコ、吸いませんよ、このかたは」・・・男性スタッフ
「タバコは吸わないので持っていません」 ・・・私は答えた。
そういうと、「そうですか」・・・おとなしく引き下がる。
男性スタッフは恐縮する。「スミマセン」
「大丈夫ですよ、気を遣わなくても。さっきもこのおじいちゃん、
聞きにきましたよ」
「そうですね」
「大丈夫ですよ。うちにもアルツハイマーのおばあちゃんがいま
すから慣れてます。でも、何人もいると大変でしょうね。みんな
別行動しはじめるから(笑)」
「そうですね」
「どちらのデイサービスですか?」
「大宮の桜木町(さくらぎちょう)の×××です」
「そうですか。私は在宅介護してるんですけど、今日こんなに
桜がきれいなので一人でお昼を食べに来ました。母を放って
・・・アハハ」
「たまには息抜きしたほうがいいですよ。どんどん息抜きして
ください」
「はい。どんどんします」
八幡小学校近くの桜