◆母は(重度の)認知症
四肢麻痺なので歩けないし、寝たきり・・・
でも、本人気づいてない。
「お義母さん、ちょっと出かけてきますから留守番
をお願いしますね」・・・(夫)
「はい」
「では行ってきます」・・・(夫)
「あのー、お客さんが来たらどこに通しましょうか?」
◆母はベッドで横になっている。
私はたった今、帰宅したばかり。
「お母さん、ただいま~」
「お帰りなさい」・・・(母)
「あのー、私は今晩どこに泊まるんですか?」・・・(母)
「どこでもいいよ、ここでもいいし」・・・(私)
「帰りたいけど、歩くんだよね」
「そりゃあそうよ、自分で歩いて帰ってね。私の家は
ここだから、帰ったばっかりだからゆっくりしたい」
◆ある日の会話
「ただいま~」
「おかえりなさい。わたし、ズッコケさんと一緒にお風呂
に入るんだよね」
「え? お風呂に入りたいの?」
「ズッコケさんとお風呂に入らなきゃいけないかな・・・
と思ったもんで」
「なになに? 一緒に入りたいの? じゃあ、お風呂の用意
するから自分で服を脱いで待ってて」
「はい」
ズッコケはただ言うだけ。
私があっちに移動したら、母はすぐに自分が今言ったことも
私が言ったことも忘れる。
もちろん、母をお風呂に入れるなんて・・・やるわけない。
寝たきりの母を家庭の風呂に入れるなんて・・・できません。
◆ヘルパーさんへの第一声
「遠くから来てくださって、ありがとうございました」
ヘルパーさん、いつになくしゃべるひつじ母(はは)に
感激していた。
その日、たまたま川越在住の人が来てくれた。
朝8時にわが家へ到着するには、自宅を早く出なくちゃ
いけないから大変なことだと思う。
ローテーションとはいえ、ホント、感謝しています。
ヘルパーさんの中には高校受験の息子を持つママもいて
「朝早くてごめんなさいね。息子さん、ちゃんと起きた?」
と(私が)聞くこともある。
◆夫との会話
母は、よく片足をベッドの柵の外にはみ出して寝ている。
「ひつじお義母さん、足が出てますよ。引っ込めてください」
「はい」
「ひつじさん、顔が出てますよ。亀のように引っ込めてください」
「はい」
母は寝ながら、くすくす笑ってる。
◆夫、帰宅して、ひつじ母(はは)と言葉遊び
「こんにちは~、お邪魔します。どなたかおられますか?」・・・(夫)
「はーい」・・・(ひつじ)
「どちらさまですか?」・・・(夫)
「ひつじです」・・・(母)
「どこのひつじさんですか?」
「〇〇ひつじ デス」
「他にどなたかいませんか?」
「だれもいません」
その前にズッコケが帰ってきて家にいるのに、母は忘れてる。
◆訪問看護師さんへ
母への一通りの作業や、足のマッサージが終わったのを
見計らって、(私が)皆にお茶を出した。
母、ベッドで座りながら
「こんなものしかありませんけど・・・」と看護師さん
に言う。
「こんなもん?」・・・と私は内心、なにをいうか・・・と
思っている。
「それは夕べ、私が作ったものですが・・・」と、母、
シャーシャーと言うではないか。
「え、お母さんが作ったの?」
「そうよ。ゆうべ」
「ああ、そうですか。お母さん、台所に立てるんだ」
「そうよ」
(そう信じちゃってるんだから仕方ない・・・相手はアルツ
ハイマー認知症・・・)
看護師さんは、くすくす笑っている。「ごちそうさま」