1/7 認知症の母との言葉遊び

 

今の母は、私の名前は言えるけど、名字を言えない。

たまにフルネームが言える。

関係は、私のことをお母さんと言ったり、おばさん、いとこ、

兄弟、さまざま。

たまに親子、「私の娘」と言えたりする。

夫の名前(名字でなく名前だけ)や、私の孫(一人)の名前は

言えることが多い。

ただし、夫と母(本人)との関係はめちゃくちゃ。私の夫を自

分のだんなさま・・・と言ったりしている。そして私の孫のことを

私の子ども=私の一人娘だと思っている。

 

◆さて、最近の母のことば

「あの~ お昼は・・・まだですか?」 ・・・(母)

 

実はその時間、全然お昼の時間ではないのだけど・・・

私も言葉遊びをする。

 

「まだですよ」

「お昼はまだですか?」・・・また母が聞く

「まだですよ、おなかがすいてるんですか?」

「いえ、お昼なら向こうへ行かなくちゃいけないかな?と

思ったので」

「そうですか、おなかがすいてるんですか?」

「いえ」

「おなかがすいてるから、そう言うんですよね」

「いえ」

「おなかがすいてるなら、すいてると言ってくれたら用意し

ますよ」

「いえ、いいです」

「あ、そうですか。じゃあ、おなかがすいたらすいたって

言ってくださいね」

頷く母。

「お腹がすいてないようだから私は向こうへ行きますよ」(私)

 

また

「あの~ お昼はまだですか?」

「まだですけど、おなかがすいてるんですか?今おなかすい

てる?すいてない?」

「すいてないですけど、聞いてみただけで、もにょもにょ」

「すいてるんですか? すいてないんですか?」

「すいてない」

「じゃあ、今は用意しませんよ。お腹がすいたら用意します

ので教えてくださいね」

「はい」

 

「お母さん、おなかがすきましたか?まだすいてないですか?」

「すいてない」

「正直に言っていいですよ、お腹がすいてるなら用意しますよ」

「すいてない」

「そうですか、すいてないんですね。じゃあ私向こうへ行きますよ」

「はい」

 

朝からあげてないんだから、ホントはめちゃくちゃ空腹なのに・・・。

 

「あの~、お腹はすいてないんですけど・・・向こうへいかなけ

ればいけない時間ですか?ムニャムニャ・・・」(母)

「今お金を持ってないんですけどあっちに何かあるんですか」(母)

 

夕方までに何度かこういうやりとりがあって最初は「すいてない」

と言う。アハハ、損な人だなぁ。

 

こっちも母が「何かほしい」「何か食べたい」「おなかがすいた」

「食べたい」と言うまで知らんぷりする。

 

いつ言うだろうか??

 

「あの~できてたら向こうへ行かなくちゃと思うんですけど」

「え? なんのことですか?」・・・(私)

「もにょもにょもにょ」

「えー?なんて言ってるんですか」

「もにょもにょで、もにょもにょ」

「あはは、わかんねー。おなかが空いてるんですか?」

「いえ」

「食べ物のことではないのですか?」  (私)

「いえ」

「正直に言っていいですよ。お腹が空いてるんだったら持って

きますよ。お腹が空いてるんですか?空いてないんですか?」

「すいてません、でも、今あそこにあるんですか?」

「ありますよ。お腹空いてれば持ってきますけど空いてるんで

すか?」

「すいてないです」

「ああそうですか。すいてないんならあとにしましょうね」

 

「しかし ホントにへそまがりで損してませんか~?」

「お腹はすいてないです」

「はいはい、すいてないのですね」・・・(私)

 

何度かこういうことがあって最後にやっと「お腹がすいてる」

と言った。やっと言えた。

 

ホント、めんどくさい女だ。

母、このあとすごく食べ、しっかり食べて、快食快便。