看護師さんのお弁当を完食した母

 

療養デイサービスで、母のやらかした大爆笑、あります。

 

7/15(水)

午後4時ごろ、デイサービスの送迎車が戻ってきた。

「ありがとうございました~!」・・・と言ったら、

看護師の〇さんが私に説明しようとして、思い出し

て噴き出して・・・大笑いしてしまって、ことばに

ならなくなった。

もう一人の男性スタッフも車いすを下ろす作業をし

ながら笑った。私もつられて笑った。

「なになに? なにがあったの?」

 

やっと・・・笑いが収まったころに、〇さんが私に

あやまった。

「今日お弁当の時間に、みんなのお弁当をテーブル

に用意して、なにかで急に用があってそこにスタッ

フが一人もいなくなっちゃったんです。こっちが悪

いんですけど、戻ってみたら、ひつじさん、私のお

弁当を食べていたんです。アハハ・・・申し訳あり

ませんでした」

「キャーすみません。こちらこそスミマセン。あなた

のお弁当をもしかして母が手づかみで食べちゃったん

ですね。ごめんなさいね」

「それが、私のお弁当は昨日の夕食の残りの餃子とか

枝豆とか、その餃子にも皮もない中身だけのものがあ

ったりと、ろくなものが入ってないんですけど、ひつ

じさんがおいしい、おいしいと言って食べてくれたん

です」

「じゃあ、うちのお弁当をあなたが食べれば良かった

のに。うちのを食べてくれてるよね? まさか食べて

ないことはないよね? 食べたよね」

「いえ、あんな愛情弁当、いただけません」

「いえいえ、だってうちの母が〇さんのお弁当に手を

出したんでしょ。〇さん、食べるものなかったじゃな

いですか」

「いえいえ、別のを食べました」

「それこそ申し訳ない。今度からこういうことがあっ

たら母のお弁当を食べてね。おいしくはないけど食べ

ていいからね」

「そう言っていただけるとこちらも気持ちが軽くなり

ます」

 

「こういうことは、家ではよく起きるの。絶対に届か

ないところに置いたつもりが、どういうわけかすごい

執着心をもって取ろうとする時があるの、火事場の馬

鹿力みたいのが出て、とんでもない動きができる時が

あるの。いつも動かない人が、ある日突然、こちらの

想定外の動きをして、いつのまにか手に持っていたり

食べてたりするの。今後は、うちの母、要注意人物と

思って、母だけテーブルからうんと離してくださいね。

同じこと、また起きると思うわ。私はよく失敗してま

すから」

 

その日、私は送迎車が来る2~3時間前にお漬物サラ

ダを大量に作っておいた。

塩麹、らっきょう酢、太白ごま油、浅漬けの素、大根、

人参、赤パプリカ、黄パプリカ、長芋、豆苗、サラダ

菜、シソの葉、ミョウガ、インゲン、ショウガ、ブロ

ッコリ、青大豆(=煮豆)、ハム、焼き豚、キュウリ

 

それを六等分し、わが家に1つ、あとは1つずつ保存袋

に入れ5袋作った。

5袋を個別にビニール袋に入れ「家へ帰って夕食を作る

スタッフがいれば渡してください」・・・と渡した。

「夕食の一品になりますから少し楽ができます。塩こう

じで和(あ)えてますから常温で大丈夫です。美味しい

かどうかわかりませんが、もしよければ食べてください」

看護師のスタッフさんは「わ~助かります。きりんに戻

ってみんなに渡します」と喜んで持って帰ってくださっ

た。

 

ほかの利用者さんがいる前で、スタッフが一瞬消えて、

その一瞬のうちに母がびっくりするほどの速さでどうい

う行動に出たか、なんだか・・・目に見えるような気が

する。

こちらの方が恥ずかしくて穴があったら入りたい気分だ

けど・・・なんか笑える話。

 

そのあと、家へ帰って、療養デイサービスの連絡帳を見

て噴き出した。

「今日は、だれだれさんのお弁当を完食しました」って。

ギャハハ 涙が出るほど可笑しかった。

 

まだまだ続きがある。

 

◆7/15(水)夜のこと

母のお弁当が、そのまま家に戻ってきた。

夜、母にそのお弁当を食べさせようと思ったのだけど、

夕食の時間に母を起こしてもグーグー爆睡して全然起

きない。

ま、いいか、寝かせておこう。(こちらも楽だから)

 

そのお弁当を夫に出した。他の夕食のお惣菜とともに。

(お漬物サラダも添えて・・・)

 

その日の母のお弁当は、初めてドライカレーにしてみ

た。そこにブロッコリーの緑、ゆで卵の黄色、ミニト

マトの赤を信号の順に彩りよく並べて飾った。

ドライカレーは茶色一色だが本当はいろいろな食材を

入れてある。

全部色が茶色に染まったので、皆さん気づかないだろ

うけど、本当はいろいろな野菜やハムを細かく切って

炒めていた。

だから、夫は夕食を食べ終わったあと、「久しぶりに

お弁当を食べたよ。ああ、おいしかった~」と言って

いた。

 

母にお弁当を食べられて、食べるものがなくなった看

護師〇さん、遠慮せずに母のお弁当を食べてくれれば

よかったのに~。

 

◆7/16(木)

用事で私だけきりんの部屋(=療養デイサービス)に

行ったら、女性の介護士Uさんが「昨日はお漬物サラ

ダをたくさんいただき、ありがとうございました。

もう一つ、昨日は申し訳ありませんでした。ひつじさ

んのお弁当と、看護師〇さんのお弁当をテーブルの上

に置いたのは私です。ちょっと席を離れて戻ったら、

ひつじさんがお弁当を食べていて、あれ~!と思った

んです。今日は枝豆が殻付きで入っているけど、こん

なの珍しいな~。いつもだと殻をはずして入れてるは

ずなんですけど・・・あれ~?あれ~?って思いなが

ら、あのあと食べさせてあげていたんです。

あとから〇さんがやってきて、「あれ? あれまー!」

と、なってしまいました。

ひつじさんが美味しい美味しいと食べるもので・・・

ひつじさんのお弁当だとばかり思ってました。申し訳

ありませんでした~」・・・と。

「いえいえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。

で、昨日、(看護師)〇さんは食べるものがあったの

でしょうか?」

「はい、菓子パンを食べてました」

「うちの母が手づかみで〇さんのお弁当を食べてしま

ったんでしょう。手づかみで食べられたら、気持ち悪

くてあのあと、〇さんは食べられませんよね。申し訳

ありませんでした。

うちの母のお弁当はそのままの状態で戻ってきたので

返って申し訳なく思いました。今度同じようなことが

あれば、母のお弁当を食べてもらう・・・ってことに

決めてくださいね。だれでもいいから食べてくれた方

が私もうれしいので」

「はい」

 

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うちの重度の認知症の母は・・・まだまだ生きる力が

あるみたいです。(笑)

みんなに迷惑をかけながらも、昼間、デイサービスの

場所(=普通の家)で生活をしています。

手づかみで食べるのは、生活リハビリをやってる。

自分で食べようという意欲があるってことで・・・。

 

小さい小さい家庭的なデイサービスで、良かった。