年に一度、幼なじみと話す母

 

最初、「イセチャンから電話だよ。イセチャンって知ってる?」

「イセチャン?? 知らない」と(最初は)言っていた。

母は持つことができないので、私が受話器を持つ。

 

話しているうちに、だんだん思い出してきたみたい。

 

 

イセチャン、わざわざ電話してくれて、ありがとうね。

また △△(=ふるさとの地名)に行った時に会おうね。

お互いに長生きしようや。

 

ミホチャンも元気なの?  へー  93歳なの。

もうそんなになるん?

 

ミホチャンって誰?・・・(私)

私のいとこ・・・(母)

お父さんの方のいとこ? お母さんの方のいとこ?

お母さんの方のいとこ。

へー、よく覚えてるね。

 

イセチャンと、ミホチャンと、小さいころ遊んだのと解説

する母。

普段ことばを忘れたみたいに言葉がすぐに出てこないけど

今夜は久しぶりに、母の頭の中、活発に動いたみたい。

 

1秒したら、全部きれいさっぱり忘れる母が、この日だけは

15分経っても覚えていた。

「さっき誰から電話があったっけ?」と聞くと

「イセチャンから」

「あったりー!」

 

だけど、30分後に聞いたら、

「だれからもかかってないよ」って言った。ま、いいか。