12/27 バナナに負けた

 

◆夫と、私の母の会話

「お義母さん、もうベッドに戻りましょう」・・・(夫)

「はい」 ・・・(可愛らしい声を出す母)

先週から、夫は車いすからベッド、ベッドから車いすへの

移乗を一日一回はやってくれる(ようになった)。

技術的にはちょっと力づくという感じではあるが・・・

いつか、自分の腰を痛めるよ・・・というやり方ではある

が私を気遣ってか、やってくれるようになった。

 

夫がいつもやってくれるのは、私より頻繁に、優しく母に

声がけしてくれること。それだけでもありがたいと思って

ます。

 

車いすを押すことをたま~にやってくれる時もあるけど、

他の介護っぽいことは・・・うーん、ほとんどしたこと

ないよね。

 

母の全介助4年目にして、夫はやっと手伝おうという気に

なった(みたいだ)。

先日、私がこのブログで介護者をねぎらってほしい・・・

介護者を尊重してほしい・・・みたいな切実なお願いを書

いたからかな?本当のことは分からない。

でも、手伝ってくれることはとてもありがたい。

だから、

技術はともかく、やってくれる気持ちが嬉しい。感謝。

技術は、訪問リハビリの療法士さんに今度、直接教えてい

ただきましょう。

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さて、

車イスから母をベッドへ移乗した夫が、母に話しかけた。

「お義母さん、今、やさしくしたのは誰ですか?」・・・(夫)

「先生」・・・(母)

(夫は)自分の名を言ってほしかったのに・・・

「え?それは誰ですか?」・・・(夫)

「すみた先生」

「それは、小学校の先生ですか?」・・・(夫)

「???」  ・・・(母・・・答えられない)

 

母の頭の中、昔のことも忘れてしまったようだ。

すみた先生という人がいたのだろう。でも、いつの先生か

母も忘れてしまった。

自分の親の名前も、兄弟姉妹の名前もすっかり忘れてしま

った。もちろん、私の名前なんかしょっちゅう忘れてて、

先日は「しいたけ」に負けた。(笑)

・・・で、昨日は「バナナ」に負けた。

 

つまり・・・娘の名前は忘れたけれど、今さっき見せた

り食べたりした椎茸やバナナの名前は覚えていた。

だから、わたくし、バナナやしいたけに負けた。(笑)

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◆訪問看護のヘイゾーさんが午後4時半に来た。

外は薄暗~い。

 

「今日は仕事納めなので道路がすごくすいていたので30分

も早く着いたわ。ひつじさん、こんばんは~!」

「おこしてください」・・・四肢麻痺、起きることも立つ

こともできない母・・・3年前から自分が起きあがれない

ことを忘れて、こう言った。

「おこしてください」

「起きたいのですか?」・・・(ヘイゾーさん)

「はい。もう かえります」・・・(うちの母)

「帰るんですか?」

「はい、かえります」

「ああ、たそがれ云々だね」・・・(たそがれ症候群のこ

とね・・・とヘイゾーさん)

「お義母さん、どこに帰るの?」・・・(私)

「家」

「どこの家?」・・・(私)

「すぐそこにある 家」

「お母さん、ここ、何県だと思ってる?」

「しまねけん」

「ああ、ここ、島根県なの」

「おこして、いえに かえる」

「家ってどこの?」

「あそこの」

「どこよ」

「・・・」

「実家ってことばも、忘れたの?」

「そう、じっか」

「お母さんの実家にだれがいるの?」

「だれも いないけど・・・」

「だれもいないけど、帰るの?」

「そう・・・おこして」

「起こしてあげるけど、私は夕食作るのに忙しいから

自分一人で帰ってね」

「はい」

 

ベッドに端座位(たんざい)にさせたら、もうさっき自

分の言ったことは、きれいさっぱり忘れている。一人で

座れないから、ぐらぐらしながら、周りで支えてもらい

ながら座っている。「家に帰りたい」は、座るのに精い

っぱいで・・・言わなくなった。

 

しかし、最後に、看護師のヘイゾーさんが「ひつじさん、

それでは良いお年をお迎えください。サヨウナラ」と言

ったら、母も、「わたしも・・・かえります」・・・って。

「ヘイゾーさんを見送ったら帰ろうね」・・・(私)

「はい」

 

看護師さんを(私が)見送って、母の部屋に戻ったら・・

母は、さっき自分が言ったことばを・・・すっかり忘れて

いた。

 

ありがたいわ。忘れてくれて・・・(笑)