認知症の人が安心できるコミュニケーション

 

◆キングスガーデン埼玉の201812月1日発行

冊子より そのまま載せます

【特別講演 伊東美緒先生】

テーマ

認知症の人が安心できるコミュニケーションを学ぶ

 

◆感情記憶を意識したケア

認知症の方は、「近時記憶は失われるが、感情記憶

は残る」といわれています。相手が納得いかないま

ま、こちらの都合でケアを進めようとすると利用者

をますます混乱させ、それが怒りや拒否へとつなげ

てしまう要因になります。ナースコールが頻繁な利

用者には早めの対応、やさしい声掛けをすることに

よって、「良い感情記憶」が残り、利用者が安心し

てコールの回送が減ったという事例もあります。

 

◆拒否の強い人が拒否をしなくなるケア

利用者の背後から突然声をかけたり肩を叩いたりす

ることで、相手をびっくりさせてしまうことが多々

あります。そのような時は、一旦相手の前に出て、

相手の視野に入ってから話しかけるなどの工夫が必

要です。なぜなら、人は視覚的に相手を認識しない

と、相手の話に耳を傾ける準備ができないからです。

 

◆よいイメージと一旦「退く」ことの重要性

・拒否の強い人には、最初のイメージが重要となります

・相手が自分に意識をむけているか確認する

・ゆっくり笑顔で挨拶し、相手に触れる

・ポジティブな言葉、表現を用いる(利用者をネガティブ

な感情から切り離す)

・どうしても拒否が強い人は、緊急時を除いて一旦退いて

みる。

・「退く」ことは、相手の拒否を受け入れることを意味し、

退いてくれた人は「良い人」という「良い感情記憶」に繋

がっていくことになります。

 

◆認知症と看取り

今後、介護施設での看取りを求められるケースが増えてく

ると思いますが、こちらの都合によるケアではなく、利用

者が楽しめるときに食べる、飲みたいときに一番美味しく

召し上がっていただくという当然のことを意識したケアが

必要になってきます。そのような対応ができる施設が増え

ていくと良いのではないでしょうか。