認知症家族の会の冊子より 2019年3月号

 

◆認知症の人と家族の会 2019年3月号ぽ~れぽ~れより

一部そのまま載せます

実りある人生を「家族の会」とともに

認知症の人と家族の会 顧問 中島 紀惠子

 

【長谷川和夫先生(本会顧問)が、ご自身の認知症を公表

(2017年11月15日、讀賣新聞)されてから数か月後、ある

会合でお会いした。ここでも、病名が嗜銀顆粒性認知症

(しぎんかりゅうせい にんちしょう)であること、常に

段取りに時間がかかり、それを終えたかどうかを確認する

毎日の様子を、ユーモラスを交えて話されていた。

人生の晩節期に正常な状態と認知症の症状が行ったり来た

りするこの病いに、同じ席にいた専門医は「要するに耄碌

(もうろく)ですね」といい、先生もうなずいておられた。

また先ごろは、NHK総合「ニュースウォッチ9」に出演され、

「認知症になると少しずつわからないことが増えると思っ

ていたけど、違いましたね。わかることが結構あるんですよ。

対応力がつくんですね」と話されていた。

人生90年時代に入り、認知症予防が毎日どこかで宣伝されて

いる。「予防」に向けるまなざしが、もっと「耄碌(もうろく)」

に象徴されるいのちの有限性や、学習する人間の「対応力」に

向けられるものであってほしい。】

 

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(老いてなお健康に)老健局の風

田中規倫(たなか のりみち)

厚生労働省老健局総務課 認知症施策推進室長

 

◆一部をそのまま載せます

「認知症予防」は国民の関心が非常に高く、様々な情報が飛び

かっている状況にあり、一定の整理の下、方向性を示し、必要

な取り組みを進めていくという考えですが、一方で、「予防」

を重視することが、認知症の人やその家族を今よりも生きづら

くさせる、との懸念も寄せられています。

確かに、これまでの研究では、認知症はこれをすれば認知症に

ならないといった予防法は存在せず、あくまで「リスク低減」

あるいは「先送り」といい示唆にとどまりますので、予防の取

り組みの先には、認知症になることも当たり前ととらえること

ができ、認知症とともに生きやすい「共生」の社会、認知症に

なったことを躊躇せずにまわりに言える社会づくりをしっかり

と進める必要があります。認知症となることへの「備え」を意

識した取り組みがより重要と考えています。