30本の自分の歯

 

前日に、ただでさえ少ない髪を訪問理容師さんに

カットしてもらったので、頭がお寒いのなんの。

タオルでひつじ巻きにしてあげた。

その間じゅうずっとこういう姿勢でいた。

私がやらせているわけではないの。

どうやら母の特技というか、好きな格好というか・・・。

 

「頭下げてもいいよ」って言ってるのに・・・

自然と頭が上がります。

こういうのを、「自分リハビリ」・・・と言うのでしょうか。

おかげで、腹筋が(勝手に)鍛えられています。

 

◆30本の歯・・・今も元気

 

虫歯が多い私の歯よりきれい。

体が動ける時には歯を磨いてあげてる最中に、私の指を

噛まれたりして痛い時もあったけど、今はしっかりボケ

てしまって、素直に開けてくれる。

 

わが家に来てから8年。この8年は私ができるかぎり母の

歯を磨いている。母の手が麻痺して全然使えなくなって

から今年で4年目。この4年は私が磨いてあげたけど・・・

その前は自分が磨いていたのよ、すごいことだよね。

 

埼玉に来て3度か4度、死にかけていた時には、口の中に

歯磨きチューブのような白いものがびっしりついて、取っ

ても取ってもびっしりついて、取るのが大変だったけど

病院に行く度、口腔用のウェットティシュで取りました。

死ぬまであと1ヶ月くらいなら後悔しないように世話して

あげましょっと思ったんだよね。

毎日病院に行って、体を温かいタオルで拭いて(体の衛生

をしたつもり)、30分から1時間かけて口の中の白い汚い

ぬめりをとってあげて・・・(お口の衛生をしたつもり)

 

そうしたら・・・

あはは

元気になって食べ物が食べられるようになりました。

あはは。ちょっと想定外に元気なってしまって・・・

だから、介護生活が・・・長~くなっています。

 

あれ?いいんだか、悪いんだか・・・

 

 

 

母の歯

奥歯に詰め物が見えます。

しっかり銀歯は・・・いまのところ2つだけ

87才の歯、ぜんぶ自分の歯だからね。

ホント、すごいよ!

 

虫歯がないからボケないとか、歯がいっぱいあるから

ボケない・・・のはウソだけど・・・

 

自分の歯でしっかり噛んで食べられるから、病気にな

っても快復すれば、そのうち食べられるようになる。

 

よって、歳とってても食べられるうちは体は快復しや

すい・・・と介護者である私は学びました。

 

というわけで、遅ればせながら、夕食後、テレビを見な

がら私は自分の歯を30分くらいゆっくり磨いています。

 

時間をかけて磨いたら、そのあと間食をしなくなります。

はい。

また磨くのが面倒だからね。(笑)

 

上田 諭著『不幸な認知症・幸せな認知症』

 

とても分かりやすい本があります。

認知症の人と家族の会・埼玉県支部から借りて

いる『不幸な認知症、幸せな認知症』という本

です。(上田諭 うえださとし著・・・新聞記者をやめて

北海道大学医学部に入り直し、医者になった人です)

 

この本の目次がおもしろいです。

あとでそのまま書いてみます。

(各長いタイトルのあとに、ページ数が書いてあるのです。

珍しいでしょ? ページ数はここでは書きませんが、下記

のようなそれぞれ長いタイトルの中で、ご興味がありまし

たら、図書館で借りてご覧になってはいかがでしょう。

すごく読みやすい本です。

ただし、盲目的に内容に賛成や拍手を送っているわけでは

なく、私にとっては一部に自分の思いとは違うな・・・と

いう場面もありますが、お医者さんなのに上から目線では

ないし、患者や家族とずいぶんお話ししているんだな・・・

ということがわかります)

 

長いタイトルをそのまま書きますね! どうぞ!!

 

≪認知症になったらどうしようと不安に思っているあなたへ≫

●認知症は治らない脳の病気です。

だからといって、無暗に恐れることはありません。

まずはどんな病気なのか、きちんと知ることから始めませんか。

たとえば、「高齢者が長期入院すると認知症になる」というの

は正しくありません。

遺伝的な要因があるかどうかも、まだわかっていません。

 

●認知症の約7割はアルツハイマー病です。

脳が変質してしまう病気ですが、原因は今のところ不明。

残念ながら防ぎようがなく、

対策を立てるのも難しく、いつ、誰がなってもおかしく

ありません。

だからこそ、受け入れる気持ちを持つほうがいいのです。

 

●家族の顔を見てもわからない。どこにいるのかわからない。

徘徊をする、というのは認知症でも重度の人の症状です。

最初の兆候から周囲の人がおかしいなと感じるまでが半年

から1年くらい。

そこから重度になるまでには、10年から15年かかります。

とてもゆっくり進行するのです。すぐに何もわからなくな

る、なんてありません。

 

●認知症を診断するツールのひとつである

改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、

年齢や簡単な計算、野菜の名前などを尋ねるとても簡単な

テストです。

私は基本的に30点満点で27点未満だと認知症の可能性を

疑います。

 

●認知症初期の軽度から中等度、重度へ、どのように症状が

変わっていくのか、知っておきましょう。

病気について多くの知識を得ることは、無用な不安感や恐怖

心を少なくするのに役立ちます。

 

●ボケたら困る、ボケないようにしよう、と思っていますか?

ボケたっていいではないですか。

認知症は早期発見で治る病気でもなく、予防もできません。

90歳になれば6割は認知症です。だったら病気を恐れず、

それまで楽しく暮らす方がいいのではないでしょうか。

 

●認知症は病気なのか、自然な老化現象なのか?

私はどちらの視点も必要と考えています。

医学研究の場では克服すべき病気と考えても、

診療やケアの現場では認知症患者を「困った人」にせず、

受け入れ、助けていくことが大事なのです。

 

●食べものやアロマセラピー、運動などで認知症を予防

しようというテレビ番組や雑誌の特集を見かけます。

脳を健康にしようという試みは悪くありませんが、

残念ながら、認知症の予防になる保証はありません。

 

●認知症かもしれないと自分で疑いを抱いたら、

まずは認知症を診てくれる病院を探してください。

どの医師に診てもらうか、そのん選択権はあなたに

あります。

納得がいかなければ病院を変えてもいいのです。

 

●一人暮らしだから認知症になっても誰にも気づいて

もらえないと不安に思う人もいるでしょう。でも大丈

夫。周囲が何かおかしいと感じるはずです。その助言

に耳を傾けてください。

もし認知症と診断されたら介護保険の手続きをしてく

ださい。地域にサポートしてくれる人を作るのです。

≪認知症と診断されたあなたへ≫

 

●認知症軽度と診断されたあなたの脳は95%正常です。

感情面もその場の理解力も問題はありません。

人ときちんと話すこともできますね。

そんなあなたに無理解な人がいたら怒りたくなるでしょう。

その気持ちは十分にわかります。

 

●いつも心の中では家族にたくさん感謝しているのに

素直にそう言えないのは、ご家族の対応も関係しますよね。

もっと尊敬の念をもってくれたら、やさしく接してくれた

ら、「ありがとう、いつも世話になっているね」とあなた

は言いたいのではないでしょうか。

 

●打ち込める趣味や楽しみ、ときめく気持ちに

なるような人がいたら、ずっと手放さずにいてください。

これからのあなたの人生を豊かにし、

あなたを輝かせる大切なこと、大切な人だからです。

 

●デイサービスにいきなさいと言われていやだなー

と思ったことがありますか?

家族に追い出されるように感じたからでしょうか?

一度だけでもいいので行ってみてください。

あなたが来ると喜ぶ人がきっといます。

 

●若年性アルツハイマー病の方が

これからのことについて書いたものがあります。

そのなかで認知症の高齢者の方におすすめできるものを

見つけました。できる範囲で試してみるのもいいかもし

れません。

 

≪認知症のご家族、友人、知人、介護職のあなたへ≫

●「あなたは認知症です」と高齢者にアルツハイマー病

の告知をすることに意味はないと考えています。

だから私は本人に告知をしません。

これからの生活を楽しくすることのほうが大事なのです。

 

●家族や友人が認知症と診断されたとき、対応の鉄則が

3つあります。

「指摘しない、議論しない、怒らない」

あなたの生活をこれまでと少し変える気持ちでご本人を

見守ってあげてほしいのです。

軽度から中等度が続く10年をどう生きるか、真剣に考え

て行動する認知症患者もいます。

そんな理性的な行動を邪魔するのが、周囲の関わり方

です。軽度なのに重度のような症状が出てしまうのは、

実は本人の病気のせいではないのです。

 

●アルツハイマー病に発生しやすい典型的な妄想があり

ます。それが「もの盗られ妄想」と、「嫉妬妄想」です。

多くの医師たちは薬で解決しようとしますが、そこには

本人の孤立感や不安感が隠されています。

張り合いのある生活を送ってもらうことで、そんな妄想

が生じなくなるケースが実は多いのです。

 

●やさしく声をかけたり、そっとからだに触れる。

それだけで認知症の症状はやわらぎます。

もし、認知症がきっかけで寝室を分けたりしたのなら

昔に戻すことをおすすめします。

心理的、物理的に距離が離れないことが必要なのです。

 

●認知症ケアの指針となっている「キットウッドの公式」と

フランスの介護の手法である「ユマニチュード」。

メディアで取り上げられることが多くなった注目すべき

ケアをご紹介します。

 

●ご家族のご苦労やつらいお気持ちはよく理解している

つもりです。

でも、少しだけ考え方を変えてみてください。

そうすればあなたもご本人も

ずっと幸せな気持ちで暮らせるはずです。

 

●かつでの介護は密着タイプと放置タイプでした。

今はその中庸、公的な介護サービスを活用し、

自分自身の時間を持ちながら介護するのがベストです。

利用者を受け入れる側はぜひともデイサービスの多様化を。

ケアマネージャーさんの確かな目がとても大事です。

 

●親や配偶者が認知症と診断されたら、

少しだけご自分の生活を変えてください。

その方との最後の時間を幸せに過ごせた、と思えるのが

目標です。

そのために必要なのは、「ラクな」介護生活なのです。

 

●認知症初期の方には書くことをすすめています。

ノートにその日のあったことを書き、

後日、読んで生活に役立ててもらう。

それができるほどの認知機能を維持するには、

人と関わり、人に認められることがもっとも大事です。

 

●「脳トレ」が認知症に効くらしいですね、と患者さんの

ご家族に効かれたことがあります。たしかにそうかもしれ

ません。

ただし、トレーニングそのものではなく、一緒にいる誰か

にほめられることが効果的なのです。

 

●久しぶりに会った友人の様子がおかしい、そんなときは

問い詰めたり、指摘したりせず、あいまいにしておきまし

ょう。

もし、認知症と診断されたとしても、

その方と友だち付き合いを続けられれば最高です。

 

●認知症を診る医師の多くは薬で症状を抑えようとします。

まったく無駄なことだとはいいませんが、

それ以上に認知症の人の心の葛藤や、すぐに怒ってしまう

のはなぜかなど、症状の背景にあるものにこそ、目を向け

るべきです。

 

●認知症に処方される薬について知っておきましょう。

抗認知症薬は何種類かありますが、

どれも進行を一時的にくい止めるもので、

ある期間が過ぎると効果がなくなり元に戻ります。

私自身は薬だけに頼る診療は不適切だと思っています。

 

●薬の副作用についてもう少しお話しします。

抗精神病薬は、過鎮静や静座不能症といった副作用が

あり、イライラや、暴言、暴力を増長することがあり

ます。

安易に薬で解決しようという姿勢、介護がラクになる

からという理由で処方するのは反対です。

 

●認知症は薬を出せばほかにすることがない。

医者がそう考えるのにはそれなりの理由があります。

ご本人の話を聞く精神療法では一銭にもならないのです。

せめて薬を出して処方箋料を報酬にするぐらいしか

収入面では手立てがない。これでいいわけがありません。

 

●昔の話を思い出してもらう回想療法では、普段は胸に

しまっている本音を維持しようとするリハビリテーション

療法でも笑顔が増えるケースがあります。

 

●精神科医はオーガニック派とメンタル派に分けられます。

オーガニック派は「脳」を診るのが得意で、メンタル派は

「心」を診るのが得意です。認知症は脳の病気であり、心

の問題でもある。そのはざまにある病気なのです。

 

●精神療法の第一歩は患者さんご本人に注目し、ある程度の

時間、きちんと話に耳を傾けること。

どんな専門をもっている医師でもできることです。

介護の現場で働く人たちもまた、本人の視点に立ったより

良いケアを模索しています。

 

●うつ病と認知症は高齢期の二大疾患ですが、うつ病は治り、

認知症は治ることがありません。

周囲が治そうとすればするほど、本人の負担は増えていく。

今のままで構わない、治らなくていいと思うことで心が穏や

かになるのだと、あるとき気づいたのです。

 

 

以上、上が目次にあたる部分に書いてあり、このあとに頁数が

書いてあります。(笑)

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で、今、私が読み始めている本は

磯田道史著 『日本史の内幕』(戦国女性の素顔から

幕末・近代の謎まで)

 

磯田さんの本って、『天災から日本史を読みなおす』

『無私の日本人』など読みましたが、歴史がおもしろ

いです。

 

母がショートステイに行っているのに、

最初の日は午後8時半、

「そろそろおむつを替えなくちゃ」と思い、

「あ、そうだ、今日は母、いないんだ、ああ、なんかすごく

しあわせー!」と思う。

たまにはこういう日があってもいいなー!と心底ホッとする。